おじいちゃん。

と、いうことで、おじいちゃんのことをここに残しておこうと思う。私の気持ちを整理するために。
 妹が生まれるときに私はじいちゃんのとこに預けられたことがあるらしい。当時私は3歳弱。お母さんに会うんだと、かなり泣きまくって、じいちゃんをこまらせた。(らしい。)ピンチのじいちゃんは、考えたあげくぬいぐるみを買ってやることにした。田舎なので一番近いお店まで車で30分ほど。泣き喚く私を連れて、じいちゃんは頑張った。やっとの思いでぬいぐるみコーナーにたどりつくと、次の苦難がじいちゃんを待っていた。私が予定外にでかい(当時の私と同じサイズ)ぬいぐるみを抱いて離さないのだ。『こっちのほうが、かわいいよ』と小さめの物を薦めても、がんとして譲らない私・・・。結果、じいちゃんの根負け。笑。じいちゃんがお酒を飲むと、よくこの話をして聞かせるのだった。本当にあの時は困り果てたらしい。ごめんよ。じいちゃん。
 おじいちゃんは本当に冗談を言うのが好きだった。あと、お酒を人に飲ませるのも好きだった。
 おじいちゃんに顔を見せに行くと、冗談を飛ばして私を笑わせてくれた。そして、遠くで働く私をいつも『痩せた』と言っては、ちゃんと食べているのかと、心配する。自分のほうが、病人なのにねぇ。笑。おちゃめなのである。
 お正月はみんなが酔っ払ってぎゃーすか言っているのを、にこにこして見ている。そして、器が空くとお酒を薦めるのだ。『じいちゃんは?飲まんと?』と尋ねると、『わしゃ、のますっとが好きだけん。よかぁ。』と言うのだ。お通夜もじいちゃんは酔っ払いに囲まれていた。つい先月まで、『今度の正月もみんなに酒ば飲ませる。』と楽しそうに話していたのを思い出した。おじいちゃんにお酌させるつもりだったのになぁ。・・・と、憎まれ口をたたいてみても、突っ込んでくれないのが、かなりさみしい。
 告別式の帰り兄弟3人一台の車で移動した。車の中はじいちゃんのものまね大会。独特の方言。やさしい口調。妹のまねがかなり似ていて、爆笑した。私は電話口のじいちゃんの声が、耳に残る。『元気かぁーい?無理したらならんばい。死ぬほどきつかときは帰ってこにゃんとぞー。』
 今、鼻水がいっぱい出てきついけど、死ぬほどのことではないので、もう少しここで頑張ってみるけん。じいちゃん見とってねー。