秋のかほり。

 自転車で出勤しているといろんなことを発見する。車通勤ではわからなかった面白さがあるなー、といつも思う。その一つが香り。パン屋さんの隣を通るとたまらなくおいしそうな暖かいにおいがしている。ガソリンスタンドとか、八百屋さんとか、通り過ぎた後ふっと香りがするとちょっと得した気分になる。
今朝は特別いいにおいがした。香水みたいな、でももうちょっと柔らかい、いい香り。住宅街を通っている時に。目をこらして探してみたけれど香りの主は見えなかった。秋の香りだなーと思いながら住宅街を抜けたあたりで、それがキンモクセイの香りだったことを思い出した。
 キンモクセイといえば、小さいときに実家の前の公園に咲いたあの木を思い出す。そのもう少し前はギンモクセイもあったはずだが、気がついたら全部キンモクセイになっていた。(と、大学生になって母に話すと、ギンモクセイが途中からキンモクセイになるなんてことはない!と笑われた・・・。)その香りが大好きで、なんとかしていつも身につけることはできないかと試行錯誤していた。花が終わって根本につもった小さな花をビニール袋に詰めたけれど、何の香りもしなかった。ならば!と、枝についている花をむしり取ったけれど、次の日には茶色になって香りもなかった。仕方がないので枝ごとむしり取ったら、現場をおばあちゃんが目撃。こっぴどく怒られた。
 と、いうことであれ以来、キンモクセイの香りを持ち歩くことを断念。自然に香ってくるあのほのかな感じを楽しむのが一番だと学習した。今年もまた、あの香りが街のいろんなところでふわぁーっとしているのを楽しもうと思う。